沖の島のことを、以前にブログで取りあげたことがあります。
神のものがたり古代の人々が、わざわざ、海の危険もかえりみずに人の住まない孤島にまで行って、なぜ神をまつらなければならなかったのでしょう。
と書きました。
沖の島は絶海の孤島であり、人の住まない森におおわれた島であること。
その島に、タキリビメノミコト(多紀理毘売命)が祀られる宗像大社の奥津宮だけがあること。
いまでも、宮司さんがひとりだけ、沖の島にいらっしゃること。
など、不思議な物語のように思えたのです。
けれども、沖の島の物語にも、どうやら現実的な側面があるようです。
といっても、これも4世紀のころまでにも遡るはなしではあるのですが。

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熊谷公男さんの『 大王から天皇へ 日本の歴史(03)』に、
ヤマトとカラの出会いを別な面から裏づけるのが、玄界灘の絶海の無人島、沖の島に残る祭祀遺跡である。沖の島には宗像神社の沖津宮が鎮座し、「海北道中」の守り神である宗像三女神を祭っている。「海北道中」とは九州から朝鮮半島・大陸に通づる海上の道のことである。
とありました。
朝鮮半島南部の加耶地域をそのころは、カラと呼んでいたようです。
沖ノ島、「玄界灘の絶海の孤島」とありますが、どこにあるのでしょう。
調べてみました。
ちょっとわかりづらかったのですが、たしかにありました。
福岡県の宗像市のあたりから、対馬の北の端へむかうちょうど中程といったところにありました。
その延長線上は、韓国の釜山あたりになります。
この海の道筋を、海北道中というのですね。
宗像大社というのは、宗像市田島の辺津宮、玄界灘沖合い10kmにある大島の中津宮、さらにその先の約50kmに浮かぶ沖ノ島の沖津宮の三宮のことを総称していいます。
タキリビメノミコトは、田霧姫命(タギリヒメノミコト)、田心姫命(タゴリヒメノミコト)ともいい、海上の安全を守るかみさまです。
田心姫神は海上に発生する霧を。
そして大島の中津宮の湍津姫神(たぎつひめのかみ)は、潮流の激しい様子。
辺津宮にまつられる市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)は神を祀るという行為をそれぞれあらわしているのだそうです。
沖津宮といわれるのにふさわしい沖の島には、祭祀遺跡が残っています。
初期の祭祀遺跡は、
巨岩の上に祭壇を築き、銅鏡、碧玉製腕飾・滑石製祭具・武器・工具などを奉献している
のだそうです。
そしてこれは、「倭王権を主体とする祭祀」であろうと、熊谷公男さんはおしゃっています。
岩上の斎場後からは、銅鏡や刀剣、そのほか多くの物が出土しています。
それらは、4世紀後半ころの古墳に副葬品として埋められていたものと同じ類のものですが、質も、量もそのころの北部九州などの地方豪族の古墳などとはくらべものにならないほどのものだそうです。
奈良盆地にかたちを現しつつあった倭王権は、この時期すでに今の朝鮮半島との行き来があったようです。
それは、たんに物の行き来があったというだけではなさそうです。
古墳時代の倭製の日常的な土器である土師器と同じようなものが、半島側でもかなり出土しています。
またこの時期、まだ列島内では生成されなかった鉄は、半島からもたらされたものがほとんどでした。
こういったことを考えると、かなりの人の移動、倭からカラへの移動もあったと考えられるそうなのです。
のちに遣唐使としておおやけに使いをおくるということよりずっと以前から、倭から半島のカラへ、カラから倭へというルートは、できあがっていたのですね。
陸路、現宗像市のあたりまで行って、海へ出る前に神を祀って航海の安全を祈願し、大島まで行ってホッとひと息、さらに沖の島へたどりついていよいよ本格的な航海にのり出す前の祈願をしたのでしょうか。
玄界灘は波があらいと聞きます。
あらい海をのりこえていく途中に、思いもかけず島がある、そこは、神のあたえてくれた避難場所だったのかもしれませんね。
10月の1日には、大島、沖ノ島の女神が海を渡り、本土の宮に祭られた女神と年に1度だけ会うというみあれ祭が行われました。
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参考HP『沖の島バーチャルミュージアム』
参考HP『沖の島・祭祀遺跡』
ブログ♪沖の島の自然 『ふくおか森づくり日記』
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