2010.02.12

江戸の旅


「日本で、もっとも往来のはげしい街道は、東海道であるが、日毎に信ぜられぬほどの多数の人々で埋められ、ある季節には、ヨーロッパの大都会よりも賑わっている。その理由は自ら好んですると必要に迫られてするとを問わず、他の国民と異なり、日本人は数多く旅を試みるからである」
『浮世絵に見る江戸の旅』


これは、いつの時代の日本のことだと思いますか?


ちょっとびっくりすることに、ドイツ人の医師、ケンペルが元禄時代、江戸への旅をした時に書いたものです。

 

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エンゲルベルト・ケンペルは、1690年、元禄3年に、長崎出島にやってきます。
ケンペルさんは、冒険心旺盛で、スウェーデン、ロシア、ペルシア、インドと旅した後に、日本への興味をかきたてられ、自ら出島へとやってくるのです。そしてそのとき日本について書いたのが、『日本誌』です。現在では、『江戸参府旅行日記』としても出版されています。


『日本誌』は、その後に日本へやってきたシーボルトやペリーも日本のことを知るために読んでいたようです。


その、世界各地を旅したケンペルが「信ぜられぬほど」と書いているのですから、よほど江戸時代の日本人は、旅行好きだったのでしょう。


もちろん、商用や幕府と各藩の行き来などの公用もあったのでしょうが、どうも江戸時代は、いわゆる観光旅行をする人が多かったらしいんですね。


入り鉄砲に出女ということばがあるように、江戸時代の関所は取り締まりがきびしいというようなイメージもありますね。
出女というのは、大名の家族の女性が勝手に江戸から出て行かないようにということを、とくに注意していたようです。


江戸時代の旅につきものなのが、ゴマの灰。


 ことに、くり返し呼びかけているのは、ゴマの灰(道中のスリ)対策で、「人を見たら盗人と思」わなくては無事な旅はできない。「旅は道づれ世は情け」というのは盗人側のセリフである
一日江戸人』杉浦日向子

ということが『旅行用心集』に書かれているということです。


ゴマの灰というのも、おかしなことばですね。
高野聖になりすまし、弘法大師の有り難い護摩の灰だといって押し売りをした者がいた、ということで、旅人を脅したり、だましたりして金品をまき上げるのことをいうそうです。


東海道中膝栗毛』にも、弥次さん、喜多さんはゴマの灰とは知らずに十吉という一人旅の男と道連れになり、旅籠でさんざんなめにあうという件があります。


道中手形をもらい、関所通過、ゴマの灰対策を考えるとなると、いまならパスポートをとって海外旅行といったかんじでしょう。


しかも、歩きが基本ですから、なんといっても時間がかかります。
なにかあったからといって、電話で連絡をとるわけにもいきません。


そんな危険もあり、スリルもあり、いつ帰ることができるのかもわからないような旅に、江戸人は、どこへ出かけていったのでしょう?


それは、お伊勢参りに、というのが、江戸の旅の王道だったようです。


なぜなら、巡礼や参詣、とくに伊勢に参るということならば、大目にみてもらえたからです。
もちろん庶民は、信仰だけでなく、街道筋の名所旧跡を楽しみつつの観光を満喫したでしょう。
伊勢への街道には人があふれるほどの、全国的な伊勢参りブームとなった年もあったようです。


ふだんは自由に自分の村を離れることのできない農民にも、商家の奉公人にも許される、ほとんど唯一の旅だったのでしょう。
お陰参りといって、集団で出かけることも多かったのです。
無一文ででかけて、先々での伊勢参りにたいする施しで旅を終えることもできたそうです。


旅の危険やわずらわしさをいう一方で、じつはあんがい気楽に、旅にでかけられた、ということでしょうか。


それとも、いまも旅好きといわれる日本人、むかしから、旅への憧れがことにつよかったのでしょうか。


この、江戸期の女性の生き方、とくに旅に焦点をあてた本もいろいろあって、ますます興味をひかれるところです。


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参考HP『むかしの旅』

参考HP『浪花講(お伊勢参り)』

ブログ♪関所抜け 江戸の女たちの冒険 『たびたまの ありがとうブログb』

ブログ♪2008.1月「箱根湯本〜元箱根」取材旅行 『鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」』

ブログ♪歩く人びと (郷土史講座より) 『かみつけ岩坊の雑記帖』


⇒こちらも読んでライフスタイルblog彩
 ☆『杉浦日向子さんの江戸ご隠居ライフ
 ★『東海道を旅してみたら

 

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