2009.06.22

おおかみなんか、こわくない

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赤ずきん』『おおかみと七ひきのこやぎ』『三びきの子ぶた』。
どのお話にも、こわいおおかみが登場します。

けれど、おおかみって、ほんとうに、そんなに悪くて、ずるがしこいやつでしょうか。

 
子どもと絵本を読むようになって、おおかみがいつも悪役なことに、不満をおぼえました。

おおかみだけでなく、恐竜の世界の絵本だと、トリケラトプスはいい役で、ティラノサウルスは悪い役、とおきまりのことが多いのです。


『七ひきの子やぎ』『3びきのこぶた』など、昔ばなしには、ほんとうに自然界のおおかみがこわかった記憶がのこっているのかもしれません。

けれども、だんだん人間の都合だけで、羊をねらうおおかみは悪いやつになり、人間のかかわりが直接にはなくなってからも、おおかみは、悪かったりおそろしかったりするのです。

肉食動物で、ほかの動物をとらえて食べなければならないことは、なにも悪いことではないはずなのに。


もちろんそうでない絵本もありますが、イメージだけで悪役をおしつけている、安易な設定の絵本もあるのです。


そんななか、きむらゆういち 作、あべ弘士 絵の絵本、『あらしのよるに』、読んだときはちょっとびっくりでした。

       

『あらしのよるに』1冊目は、あらしのよる同じ小屋のなかに避難して、2匹がなかよくおしゃべりするものの、じつはおおかみとやぎ。

絵本のなかの2匹は、おたがいにあいてのことをわからないまま、だんだんに気があう相手だとわかってきて、楽しくやっているのですが、絵本を見ているこちらでは、正体がばれないかとはらはらしたり、微妙にくいちがう会話がおかしかったり、で、ちょっぴりユーモラスで印象にのこるおはなしになっています。

ところが、じつはシリーズになっていて、『あるはれたひに』『くものきれまに』とつづくこの絵本は、だんだんと哀しいおはなしになるのです。
『ロミオとジュリエット』をおもいおこさせるような、けれども、自然界のきびしさを思えば、もっと悲哀をかんじさせる、でもはらはらどきどきはかわらない、そんなおはなしです。


この、『あらしのよるに』シリーズの絵本は、かなり有名になっていて、大人版がでていたり、アニメやテレビ、映画やゲームの原作にもなっていて、びっくりでした。

あいてをみるのに、なにかしらの価値観をもってしまう大人であればこそ、心をゆさぶられた人がおおかったのですね。


幸福に驚く力』(清水眞砂子)のなかに、おなじローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』でも、訳者によってずいぶんちがう雰囲気になる、ということが書かれています。

ローラが母親のことを「母さん」と呼ぶか、「母ちゃん」とよぶか、それだけでずいぶん、違ってしまう、と。

(前略)言葉って、こう、すーっと上げますと、皆さんが沼から足を抜くと、泥がずずっと足についたまま上がってきますよね、あんなふうに、それにまつわるいろんな物がべたっとついて上がってくる。日本語、いえ、どの言語もそうでしょうけど、一つの言葉がそれだけでおわらず、水面下のものが、べたっとついて上がってくる、そういうものなんですよね。



おおかみ、ということばにまつわる一般的なイメージだけをひろいあげてつくった絵本もあれば、そのイメージを逆手にとったようにうまくつかっている絵本もあるということですね。


さらにもう1冊、『3びきのかわいいオオカミ』。

これは、『3びのこぶた』のまったく逆をいく、かわいいおおかみと、『3びきのこぶた』のおおかみなんていうものではないくらい悪ーいおおぶたがでてきます。

これもラストは、なかなか考えさせられます。



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関連HP あらしのよるに 〜MICKEY TV

関連HP 「あらしのよるに」あべ弘士絵本原画展  〜マイタウン島根/asahi.com

関連動画あらしのよるに(前半) 朗読:おおしまゆかこ

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