2009.06.16

エンターテインメントことはじめ

エンターテインメント、エンタメ。
娯楽、気晴らしとなるもの。

日本のエンターテインメントのルーツを探ると、どこにいきつくのでしょう。

 

映画または週刊誌やテレビのワイドショー的なニュース、そんなものすべては、ここにはじまった、というものがあるようなのです。

いまや世界中に進出している日本文化のひとつ、まんがの原点はこれ、ということもできるのです。


それは、国宝、『伴大納言絵巻』です。


歴史か古典の教科書のようなもので、多くの人がいちどはみたことがあると思います。

印象にのこるのは、スペクタクルの頂点、応天門の炎上です。
画面上部はもくもくとした黒いけむりにおおわれ、応天門は、赤いほのおに包まれてもはやその存在もよくはわからないほどです。

その応天門にむかって、騎馬で弓や矢をたずさえてはしる人や、はだしで指貫という短いズボンすがたでかけていく人々も描かれています。


騎馬武者は、とりあえず集まって、さて事件らしい現場にむかおうかというようすですが、なにやらとまどっているふうでもあります。

先のほうには、官僚らしい貴族が、これは馬を必死にかけさせてとにかくいそぐ姿をみせています。

なにやらわからないけれど、大変だという感じで多くの人々がはしっていきます。
さきのほうでは人々がおしかたまり、くちをあけ、手をかざすなどしながらみあげています。

スペクタクルの現場では、熱風に煽られ、前に進むのか逃げようとするのか、それでも火事をみようと混乱するようすが描かれています。


これは、絵巻物ですから、もともとは手にもって、紙をまきとりながら先へさきへとよみすすめたものです。

応天門の火事の場面で、伴大納言のものがたりのようやく4分の1ていどが語られたわけですが、ここまでで、絵巻の紙の長さは6メートル70センチ。

絵巻を巻き取るのがわずらわしくなるほどに思えますが、はじめてものがたりを読んだ人は、私たちが漫画のストーリーの先が知りたくてどんどん頁を繰るように、手をとめずに読みすすめたのでしょう。


伴大納言のこの物語は、ただのおはなしかというと、そうではありません。

伴大納言の応天門事件ともいえるものが、過去にあったのです。


794年に京都に都が遷されてから約70年に、応天門が焼けおちました。

応天門は、平安京大内裏にあった門です。
現在では、平安神宮の応天門はとして5/8のサイズで模したものが有名です。

その応天門が焼けた、放火の犯人は誰か。


応天門はもともと大伴氏が造営したものですが、大伴氏の末裔である伴大納言(伴善男)は、左大臣源信が放火の犯人であると訴えます。

左大臣源信は、自宅謹慎でゆるされ、放火犯人も不明のままときがすぎたのですが、あるひとりの身分の低い官人が、火事の直前に応天門から出てくる伴大納言をみています。

この官人の子どもが判大納言家の使用人の子どもと喧嘩をしたことから、じつは判大納言が、ということが発覚していきます。

再度の取り調べで、伴善男とその息子らも犯人として流罪に処せられます。


じっさいには、この応天門事件がとりあげられて『伴大納言絵巻』となったのは、おなじ平安時代とはいえ300年も後のことです。
平清盛のころのことです。


300年も前のそんな事件がおもしろいのかといえば、とうじの人にとってはおもしろかったんですね。

現在だって、たとえば300年前、徳川家宣のころの江戸幕府のはなしである大奥や水戸黄門を、楽しんでますよね。


 人間は、高貴なるものも卑賤なるものも一つになって、“人間”というカテゴリーの中に入れられる。そういう新しいカテゴリーの中で、人間というものはどのように見えるか、それを教えてくれるのが、《伴大納言絵巻》という、人間のドラマに関する素晴らしい絵巻物なのだ
『ひらがな日本美術史』橋本治



さて、この伴大納言のものがたりを現代にさらによみがえらせたエンターテインメントがあります。

岡野玲子さんのまんが、『陰陽師』です。
陰陽師4 勾陣』の『蟇』です。


このものがたりでは、伴大納言もやはり罪をきせられたのであって、最後に笑うのは藤原氏。
大伴氏として、もののふの束ねとして朝廷、大君につかえてきたこの一族も、もはや平安の世では力を発揮する場もなくなっていた、という人の世のうつりかわりをさらに、感じることができます。


現在では国宝というものになってしまって、ありがたがるしかなかった『伴大納言絵巻』、伴大納言のものがたりも、こうしてみると、あらためて興味をもつことができそうではありませんか?




 △△△
ランキング参加! 
なるほど!とか感動!!があったら応援クリックお願いします

関連HP 国宝 伴大納言絵巻展―新たな発見、深まる謎― 〜Fuji-tv ART NET

動画■京都市左京区平安神宮

ブログ♪いづつやの文化記号 『伴大納言絵巻とマザッチョの楽園追放』


⇒こちらも読んでライフスタイルblog彩
 ★『日本人の謎
 ☆『仏像と相撲の関係

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
出会い系サービス
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。