『その日本語が毒になる!』を読みました。
著者は、吉村達也さん。
日本人は、NO!と言えない、本心をいわないと言われます。
日常生活で人としゃべるときや自己表現をするときに、日本語はきわめて使い勝手の悪い言語なのだ。
ほんとうに心のなかで思っていることを率直に表現しにくいし、その反面、ホンネをごまかしたり、相手を皮肉で痛めつけるには便利な言い回しが豊富にある。


そのひとつとして、お礼やおわび、あいさつの言葉に日本語は不自由だということがある、と書いてありました。
会社などで上司にあった場合、「こんにちは」や「こんばんは」ではなれなれしく、「おはようございます」のような適当なことばがみつからない、というはなし、なるほどと思いました。
そこで芸能界のように仕事時間がまちまちなばあいは、最初に合ったらともかく、「おはようございます」のあいさつをするようなになった、というのですね。
おもしろいなあと思いつつ、ちょっとネットをのぞくと、「おはようございます」のあいさつを使うべきかどうか、悩んでいる人がいるんですね。
午後や夜になってから「おはようございます」を使うのは不自然と思ったり、出勤時間が違う社会では普通に使っているという方もいらっしゃるし、あらためて、そういうものかと思いもしました。
おはようの語源は、「お早く」であるとのこと。
自分より早くその場所にいた人に対して「お早いお着きでございますね」とあいさつする、ということを考えれば、芸能界その他で、夜でも「おはようございます」は、少しもおかしくないということになりますね。
それなら、こんにちはやこんばんははどうか、というと、「今日は(今晩は)、ご機嫌はいかがですか?」などというあいさつが、もとであるとのこと。
おはようというあいさつだけに、ございますがついて、丁寧なふんいきになるというのも、日本語のおもしろい、でもちょっと困ったこところかもしれません。
さて、
私の住んでいる地方では、すくなくとも親の世代くらいまでは、もう少しちがうあいさつのことばがありました。
「おあがりなんしょ」。
食べてください、っていう意味のことばですが、たとえば、お昼前に畑からの帰り道同士の隣近所の人が使います。
お互いにお昼だね、ゆっくり食べましょうというような感じでしょうか。
そのほか、「いいお日和で」「いいおしめりで」などというのも、いっしゅのあいさつだった気がします。
方言についてのサイトを調べてみると、こんばんはの意味をもつことばとして、「ええばんだなし」「おしまいなさったか」など、やわらかいことばが並んでいました。
その地方によって、あいさつのことばも、いろいろとあったはずが、標準語といわれるものが一般的に話されるようになって、なんだか足りない、通じにくい、日本語になってしまっているのかなと思います。
まだまだ、周りに残っているやさしいあいさつに、あらためて耳をかたむけてみるのもいいなと思いました。
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