2009.02.21

蕨餅をなつかしむ

清川妙さんの本で、蕨餅のことを読みました。

 蕨餅を知ったのは、奈良の湖月という甘味処である。

 黄粉をまぶした蕨餅は、白地にうっすら紅味のさす赤膚焼の皿に載っていた。二月堂と呼ばれる黒塗りの卓によく似合った。つるりとしたのどごし、餅と黄粉の野の香り。ひかえめな甘さ。味にも古都の趣があった。


なんだか、蕨餅、食べたくなりますね。

でも、ここに気になる記述があります。

「それは祖父母の時代ですね。あの頃の蕨餅は本蕨粉ですよ。おいしかったでしょう。」
いまの湖月のご主人が、電話に出て話してくださったという言葉です。

  おいしい蕨餅
たしかに、いま、スーパーなどで蕨餅を買って、原材料を見ると、

澱粉、わらび粉、砂糖、きな粉

砂糖、こんにゃく粉、ゲル化剤、でんぷん、わらび餅粉、

砂糖、水飴、でんぷん、増粘多糖類、寒天、乳化剤

などとあり、蕨の粉をつかわなくても、蕨餅ができてしまうんですね。

かんたんに言えば、でんぷん質の粉を水で溶き、火にかけて煮詰めて、冷やしたもの、ということになるでしょうか。


もちろん本来は、わらびの根からとった蕨粉を使ったものをいうのでしょうが、蕨粉は貴重で高額なのです。

家庭でも比較的かんたんに作ることができますが、おなじ蕨粉といっても、いろいろあります。

蕨粉というのが、元来わらびの根からとったでんぷん質の粉です。

わらびもちというものも売っていますが、これはじつは、芋類のでんぷんです。蕨粉は、含まれていません。

ややこしいのは、本蕨餅とあるものがすべて、蕨粉100%ではないということ。
蕨粉と各種でんぷんをそれなりにブレンドしてあり、蕨粉の含まれ方もそれぞれなのです。

舌触りや、日持ち、冷やしたときの食感(本蕨粉100%の場合、冷蔵庫で冷やすと固くなる)など、蕨粉100%では難しいこともあるので、流通している蕨餅は、蕨粉の含まれ方もそれぞれなんですね。

本物の蕨粉を使った蕨餅は、家でつくるのが本来なのかもしれません。


ここで、私は思いだすことがあります。

火の鳥』という絵本なのですが、

手もちの 米・麦・アワ・ヒエは かゆにのばしてくい、

やがて それもなくなると 山にはいって

わらびの根をほった。

たたいて こなにして だんごにして くうのだ。

あさは つめに血のにじんだ

わらび根ほりの つらさを おもいだした。


これは、火の鳥がとぶと飢饉になるという村の、あさという女の子のはなしです。

あさは、このあと、火の鳥退治にひとりででかけるのですが。


それは、砂糖を入れたような蕨餅でなく。

蕨の細い根からは、たくさんの粉がとれるわけでもなく。


本当の蕨粉がはいると、蕨餅の色が琥珀、または黒っぽいくらいになるそうです。

蕨餅をたべるとき、そんなことを少し思いだしながら食べてみてください。


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